コンパクトカメラの携行方法

コンパクトカメラの携行方法

登山でコンパクトカメラを持っていくことがある。荷物を減らすために一眼レフなどをどうしても持っていけない場合と、逆に余裕がある場合でサブカメラとして持参する場合だ。最近使用しているコンパクトカメラは SONY の RX100M3 、撮像素子が1インチなので、大きさ重さともにコンデジとしては大きい方だ。

このカメラを携行する方法について考えてきた。

ザックのショルダーハーネスには既にGPSを取り付けているし、ウエストベルトには物をぶら下げる余裕がない、ザックのウエストベルトには多少の収納スペースがあるが、構造的にカメラの収納には適さない。思案の結果、チェストバッグにカメラを納めることとした。

カメラは取り出しとしまい込みをストレスなく即座に行いたい。そのため、目で見て確認しなくても扱えるように、バッグの中で立てた状態で常に同じ位置に収容したい。

合板製の角箱ケース

内側はフェルト貼り

私が使っているチェストバッグはパーゴワークスのパスファインダー(M)で、ちょうど中央部分に 350ml のペットボトルを収容できるような仕切りがある。そこに上部を解放した角型のカメラケースを納め、上からカメラを立てた状態で落とし込むようにして出し入れすることとした。ダブルジッパーのため、ちょうどカメラ部分だけ開けて取り出し・格納ができる。

2.5mm 厚の合板をカッターナイフで切り出して、木工用ボンドで組み立てる。この方法は寸法の精度を高め、仕上がりをきれいにすることができる。内部には片面に糊のついたフェルトシートをカットして貼り付ける。外側は表面を紙ヤスリで磨き、少し面取りをしてからクリアラッカー仕上げとしている。インナーケースなので凝ってはいない。最初はダンボールを使用していたが、耐久性に問題があったため、合板を使用することとした。既に1年以上使用しているが特に不都合なことはない。

2.5mm厚はオーバースペックで本当はもっと薄い1mm厚の合板がいいのかもしれないが、使い勝手を考えたとき、カメラの大きさ重さとケースの重さには適当なバランスがあるようで、ケースが軽ければ良いというものでもない。

取り出し・収納が簡単なように縦に収容する

改善点としては、カメラを落とし込むときにケースの底面に荷重がかかるため、フェルトのクッション能力だけでは劣化が早くて不十分で、何らかの対策が必要と思っている。それと、チェストバッグ内の仕切りには底がないので、ケースが沈みすぎることがある。ケースがバッグの底に着いていることは必要なので、ケースの高さが不足しているということだと思う。場合によってはインナーケースにゲタをはかせることも必要かもしれない。

チェストバッグ(ダブルジッパー)

中央部分に確実に固定される

両開きで簡単安全にアクセス

ちなみにこちらはダンボール製、木工用ボンドで接着、養生のメンディングテープはそのままにしている。これはこれで良い、それなりに強度があり、何よりもカメラに優しい。当然耐久性はないので適当な時期に作り直しすることになる。それでも1年やそこらは十分に実用になると思う。なにせインナーケースなので見てくれを気にする必要はない。

上にも書いたが、とにかく軽いので取扱上、カメラの付属物的な位置づけになる。このあたり実際に使ってみなければわからない感触かもしれない。

インナーなので外観の仕上げ省略

2mm 厚のダンボールに 1mm フェルト

最後に、もう少し小さめのコンデジ、フジフィルムの F200EXR、古いものだがセンサーが CCD で映りが気に入っているため2台使っている。

こちらはウエストバッグ(モンベルのデルタガセットポーチM)に入れているが、バッグの容量が小さめなので、使い勝手や他の荷物との関係でカメラは常に真ん中というわけにもいかず、ケースが移動できることが必要になる。

移動できて、かつ縦位置のまま倒れない構造ということで、ベルクロなど試行錯誤の結果、ケースの底にプラスチック製( 100 均の下敷き)のスタビライザを付けた。プラスチック板が少し反ってケースがちょうどいい方向に傾き(しかし倒れない)取り出し、しまい込みがスムーズになった。ダンボール製ということもあって、柔軟な構造で他の荷物とも馴染み、使い勝手がいいと思う。

既に2年ほど使い込んでダンボールがへたってきているのでそろそろ作り直しの時期かもしれない。

インナーケース外観

プラスチック板のスタビライザー

ウエストバッグの中で絶妙なポジションを維持

2018.7.31追記:

新たに APS-C サイズのカメラを導入したので、同様なケースを作成した。

カメラは FUJIFILM の X-A5 、メーカー仕様によると、外形は W116.9mm×H66.7mm×D84.6mm となっているが、この寸法には突起部分が含まれていない。実測すると、W125.0mm×H67.5mm×D91.0mm となった。このサイズにはレンズキャップも含めている。

合板には 2.5mm 厚のものを使用し、その内側に 1.5mm 厚のスポンジ板を貼り、さらに 1.0mm 厚のフェルト生地を重ねている。底面だけは収納時のカメラへの衝撃を緩和するためスポンジ板の厚さを 10mm としている。カメラとケース間の遊びサイズは縦横各辺 3mm としている。

これらの寸法を正確に測り、カッティングマットの上でスチール製物差しをあててカッターで部材を切り出した。この方法は部材を精密にカットするのに適している。接着には木工用ボンドを使用し、外観は紙やすりで面を整えた後、黒色のラッカー塗装で仕上げた。

出来上がりの外形は H140.0mm×W80.5mm×D104.0mm となった。

カメラの収容方法は同じスタイルだ

2.5mm厚の合板を使用

カメラのストラップ

カメラのストラップは本来であれば落下防止のために首に掛けるスタイルが良い。しかし、歩きながら撮らない、撮影後は身体の全面に吊下げているチェストバッグに必ず収容するという基本動作を守れば、落下に備えて首に掛けるストラップも手首に巻くストラップも必要ない。カメラの取り出しと収納時、そして取り回しの利便性のために指に掛けるストラップのみで十分だと思う。

ケースはコンデジと較べるとさすがに大きく容量は3倍を超える。そうなると収容するバッグもそれなりのサイズのものが必要で、チェストバッグのLサイズ(PaaGo WORKS パスファインダー L)を使用する。パスファインダー L の内サイズは奥行き約80mmなので、ピッタリ収まる。余裕はないのでズレたりはしないと思う。チェストバック内の横スペースにはマンフロットのミニ三脚 MTPIXI-B や全長200mm程度までの交換レンズが収容できる。レンズはそのまま収容しても合板カメラケースによる保護の恩恵にあずかることができる。

PaaGo WORKS パスファインダー L

中央部分に収容

APS-Cサイズのカメラには、厳しい山行の際にフルサイズに代わる役割を期待している。その意味ではメインカメラなのだが、せっかくの小型軽量という特性を活かしてコンデジ風の携行方法を模索したい。そこから新しい可能性が見えてくるような気がしている。

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