摩周湖を撮る①

摩周湖を初めて訪れたのは、小学校の修学旅行だった。当時は「阿寒国立公園」、その後2017年に改称されて今は「阿寒摩周国立公園」というようだ。

展望台は現在は第一展望台と第三展望台だが、昔はその中間に第二展望台があった。他の展望台と較べると粗末な感じではあったが、眺める景色は他に劣らず良かったと思う。「第二展望台」という表示はあったと思うが記憶は定かではない。駐車場がないため、多くの人はスルーして第一か第三の展望台に向かっていた。

さて、時が流れて今あらためて地図を見ると、摩周岳とカムイシュ島の位置関係を写真の構図として捉えると第一・第三展望台よりも第二展望台があったと思われるポイントからの方が魅力的に思える。

そこで、昔のフィルムを探してみたが、残念ながら第二展望台から撮ったものは残っていない。カメラを持ち歩く以前の記憶だからなのだろう。1972年5月5日に撮った道案内の写真が見つかったが、そこには第一、第三の展望台しか表示されていない。ただし、これは第二展望台がこの時点でなかったという証拠にはならない。「お勧めではない」場所の名称を案内板にあえて書かないとことは、よくあったことだ。

案内板(1972年5月)

仕事から解放されて暇な身としては、これは"行ってみるしかない"ということになる。実際に第一、第三展望台の間の道路を通ると、周囲は笹薮に覆われていることがわかる。ということはダニだらけのやぶ漕ぎというのが頭をよぎる。ここは残雪期にスノーシューで行くべきなのか。登山の記録を検索すると、摩周湖一周なんていう記録もある。しかし、思い立ったら冬を待たずにすぐに行ってみたくなる。とりあえず、ルート偵察程度のつもりで出かけてみることにした。

地図で見当をつけて、藪への侵入口を探して何度か往復するうちに、それらしき場所を見つけた。道路標識の裏側から入る踏み跡で、よくよく見なければわからない、そしてその場所はカーブとアップダウンが連続する場所で安全に車を止める場所がない。どこに止めても他車に危険を及ぼすと思われるような場所だ。この日はそこまでで撤退とした。

作戦をたて直し、2020年の8月、平日の車の少ない時間帯で100mくらい離れたできるだけ見通しの良さそうな場所を選んで路側駐車、ダニ対策のレインウェアを着込んで出発、これは朝露対策としても有効で、霧の多い摩周湖では天候の良い悪いに関わらず藪には効果的な装備。

やぶ漕ぎ

約100mのやぶ漕ぎで足場が少し広くなったところに出た。おひとり様専用展望台といったところか。三脚はしっかりと立てることができそうだ。

とりあえずここまで

人が多くても2人程度立っていられる程度の場所で、地図で検証した通り、カムイシュ島が摩周岳主稜線が湖面と交わる点の近傍に位置する構図の写真が撮れそうな場所に出た。"撮れそうなというのは、撮れなかったからで、あいにくの霧が立ち込めており、摩周岳の湖面付近とカムイシュ島が確認できる程度の見通しだった。

この時期、霧が多いのは周知のことで、とりあえず、撮影場所と構図の基本的な要素を確認できたので、秋の霧の少ない時期の再訪を期して帰途についた。

摩周湖

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