摩周湖を撮りたいと思ったが、見慣れた写真ではなくて自分なりの意味を持ったものが撮りたかった。しかし、具体的なアイデアが出てこない中、とりあえず、摩周岳の頂上からの日の出を撮ってみようと思った。
日の出となると、NDフィルタ使用なので湖面は撮影対象外ということで、前回見つけた撮影ポイントではなく、より快適な第三展望台を選定した。ネットの計算サイトを利用して第三展望台から見て摩周岳の頂上から日が出るのは10月18日と算出し、前夜から駐車場で車中泊した。
標高ゼロメートルの日の出は5時30分ころなので、摩周岳頂上は6時ころと想定し、5時過ぎには三脚をセットして待ち構えた。
三脚をセットし終わった時には地平線が赤く染まり始め、5時30分頃には空の赤色が濃くなり、湖面が少しずつ見えるようになってきた。湖面は凪の状態ではなくて風があるようで、そのざわめきが聞こえてくる。そして、乱れた湖面が夜明けの弱い低角度の光を反射して、見事なグラデーションを見せていた。ゆっくりと動く湖面は今まで見たことのない繊細なグラデーションで、その美しさに思わず立ち尽くしてしまった。
予想した通りに6時ころに摩周岳の頂上の明るさが増してきて、今にも光芒が差し込みそうになったが、NDフィルタを取り付けるのも忘れて湖面を撮り続けた。結局、頂上からの日の出は撮れずじまい。しかし、思いがけない絶景に遭遇し、それを存分に撮れたことで十分な収穫を得た。
摩周湖