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昭和47(1972)年当時、単にサブカメラが欲しいだけで、行きつけのカメラ屋の主人が薦めるままに購入したカメラ。
あのころは、もっぱら中判カメラを使っていたため、35mmサイズのカメラにはあまり関心も予備知識もなかった。
ところが、このECRは意外にも私のメインカメラと互角に渡り合うことすらあった。
そのころは湖の写真を撮っていた時期で、フレームを決めたあとは雲の形と風による湖面の変化を狙ってひたすらイメージ通りの瞬間が訪れるのを待つような撮り方をしていた。大きな機材は自由がきかないもので、移動中に思いもしない場面に出くわしたときなど、即写性にすぐれたコンパクトカメラの威力が発揮された。それがその後のOMシステムへの移行の動機にもなったのだが。
ところでこのカメラ、35ECにレンジファィンダーを追加したものだが、基本的なデザインまでは変更していないために構造的に無理があるようだ。そのため、距離計の基本性能は良くないかもしれない。まあ遠距離風景専門の私にとっては距離計はおまけ程度でいいのだが。
商品寿命も短かったようで、中古市場でもたまにしか見かけない。メーカーサイトでも過去のカメラを紹介した記事には掲載されていない。省略されてしまうような位置づけのカメラということか。その後に出た35EDの方がカメラとしての全体のできが良かったということのようだ。
しかし、メーカーのそんな思惑は関係なしに私にとっては思い出の多いカメラだ。 |
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ケースに入れずに、こんな感じで持ち歩いていました。キズとかホコリに気を使うよりも即写性を大切にしていました。最初からこんな使い方をイメージして購入したものです。しかし、ボディにヘコミを造ることもなく小さなスレができる程度でした。 肩から下げて使うには適度な重さでバランスもよかったと思います。 |
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比較的小さめの刻印で、なんとなく気品を感ずる部分です。
シャッターロックが付いており、写真はロックされた状態です。シャッターロックの感触はしっかりとしたクリックがあり、メリハリのきいた感触です。
シャッターボタンの突出量は大きめで、シャッターを押すと、最初の1.5mmくらいは軽く、その段階でトップカバーのオレンジ色のランプが点灯します。その後は重めでほぼ一定の感触でシャッターが切れます。戻るときにジーッというようなギヤの音がします。 |
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前面左下にエレクトロニクスを象徴するような電子が飛び回るようなイメージのプレートが埋め込まれています。手が込んでいるというか、これによって右手側前面のデザインに適度な緊張感が生まれシンプルで気品のあるデザインとなっています。 |
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底面は思いっきり実用的というか、必要な機能をしっかりと造りこんであるという感じがします。
巻き戻しクランクは、あまり回し易いとはいえませんが、しっかりと造り困れています。
電池ケースの蓋も金属製です。この後のモデルがプラスチック製になっています。開閉ネジはあまり大きくありませんが不都合はありません。
三脚ネジ座は円形に盛り上がる計上でしっかりと強化されており、いかにも頑丈そうですが、雲台との密着面が狭いのでしっかり固定できません。そのため、私はもっぱら手持ちで使用していました。
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レンズは42mmで、その後の38mm、35mm、28mmといった流行からは外れてしまっていますがまったく問題ありません。
フィルムの感度設定はレンズ鏡胴内側のリングスイッチによります。私は両手でカメラを支えて、両手の親指で回しています。適度なクリックがあって確実に設定できます。このリングスイッチを回すと、CDS前面の穴あきフィルターがターレット式に入れ替わり、受光量が調整されるようになっています。 |
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ファィンダーは、視界の広さは適度で全体を見渡すのも楽です。
ブライトフレームは角が丸くなっていますが、これはしっかりとエッジが立っている方がいいと思っていました。角が丸いということは精度を保障するものではないという意志表示なんでしょうが、構図を考えるときの感覚に水をさされるような気がします。まあ、そんな使い方をするカメラではないよということでしょうか。
フィルムの巻上げはノブを親指で回します。2回とオマケといった感じで巻上げができます。トルクは適度かつ一定で操作はしやすい方だと思います。
裏蓋が軍艦部よりも少し(2~3mmくらい?)出っ張っています。その分、圧版を手抜きせずにフィルムの平面性がよくなっているのかと思います。きにしなければわからない程度の出っ張りです。
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ホットシュー付きです。当時の金属カメラでは当然の装備でしっかりした剛性感のある造りです。 左手サイドにシンクロソケットがあります。
レンズ鏡胴にはGN設定リングがあります。ストロボ使用時の露出が自動化されます。これも当時の定番の機能で、GNを設定するだけで簡単にストロボが使える便利な機能です。 |
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