clock.png 2024年12月
2024.12.1
アナログの世界

1960年代、高校生の時、古物屋さんでAKAIのオープンリールテープデッキを見つけた。8インチリールで操作は2レバー式、メカニカル仕様だがプランジャーも使っていて、操作感覚は軽くて軽快だった。無理して購入したのだが、たしか1万5千円だったと思う。
アンプとスピーカーも内臓しており、その音の良さに驚いた記憶がある。真空管アンプと狭い筐体の中に設置されたスピーカーのコンビとは思えないほどの低音再生ができた。
主にFMラジオを録音して聞いていたのだが、なにせ8インチのオープンリール、巻き戻しはものすごいスピードでリールが回転する。その慣性エネルギーは大きく、レバーを「停止」にしても1分以上回り続ける。ブレーキは無い。あっても両方のリールに均等にブレーキを掛けることなど無理で、巻き取り量すなわち半径の差で左右のリールの回転数は異なる。慣性ネルギーも異なる。ただ自然に止まるのを待つしかないのだ。
もういいだろうと、適当なタイミングでにレバーを「再生」にすると、あっという間にテープはちぎれ飛んでしまう。
これを何とかしたいと考えて改造にトライした。
まずはアルミ板を丸くカットして放射状に切り込んでスリットを入れたものを筐体内のリールの軸に取りつけた。
そして、真空管アンプの電源トランスの6.3Vの電源を使用してパイロットランプを点灯させ、アルミスリット板を挟んでCDSを取り付けた。これでリール軸の回転数を検知することとした。
CDSを流れる電流波形はトランジスタ回路でシュミットトリガを構成して矩形波に整正し、エッジをパルス化してワンショットマルチを駆動した。
手持ちのトランジスタが少なく、古いPNP接合の2SA、2SBタイプのもので回路を組むこととした。一般の電子回路では当時すでにNPN接合のトランジスタ(2SC、2SD)が主流で、PNP型はほとんど使われなくなっていた。
慣れないトランジスタでうまく行くか心配だったが、意外にも設計通りに動作する回路が出来てしまった。
ワンショットマルチの出力をコンデンサに貯めて、ここもシュミットトリガでフリップフロップ回路を反転させてリレーを駆動し、その接点でAV100Vを制御してプランジャーを動作させた。この部分の回路だけはボリュームを入れてコンデンサーに蓄電する量を制御し、リレーが動作するタイミングを変化させた。これによってリールの回転数が落ちて、「再生」のプランジャーを動作させるタイミングを調整できるようにした。
当時、いろいろな受信機、送信機、オーディオアンプなどを制作していたが、これほど設計通りにうまくいったことはまれだった。
レバーを「逆転」にして巻き取りを開始し、ルールの回転が高速になった適当なところでレバーを「再生」にすると、リールの回転が徐々に落ちて一定の回転数になった時に自動でプンジャーが動作して再生になる。
なんと快適なことか!と一人悦に行って何度も操作を繰り返して楽しんだことを覚えている。
世はカセットテープの時代に移行し、やがてCDも登場する。オープンリールは特殊なものとなってしまったが、長時間録音に存在価値を見出し、もっぱらFMラジオの録音に活躍した。
そして、いつ頃だったか、そのデッキも消えてしまった。就職で家を出たころが転機だったと思う。
あの傑作機が懐かしく、時々思い出す

2024.12.1
カット・アンド・トライ

なぜか時々「カット・アンド・トライ」という言葉を思い出す。
今で言えば「トライ・アンド・エラー」なのだろうが、古い頭では「カット・アンド・トライ」に固執してしまう。
この言葉を使った直接的な場面は、その昔、アマチュア無線の無線機を自作していたころ、LC共振回路のコイルを巻いて、その長さを調節するときのこと。
当時、高めの周波数、50MHzとか144MHzなどの場合は、コイルのサイズも比較的小さく、巻き数を調節するために、コイルの端をカットしていた。ディップメーターなどで都度周波数を計りながら、カットを繰り返すのだが、"カット"という言葉の通り、切りすぎると元に戻すことはできない、このような周波数ではCすなわちコンデンサーの方は小さな固定容量のものなので、Lの調整で周波数を合わせるしかないのだ。微調整はコイルの形を少し歪めたりして行うのだが、肝心のカットの感が回路の出来栄え(見栄えと性能)を左右する。
この作業、少しずつ変化を見ながら繰り返し、変化がサチってきた頃合いをつかむコツが必要だ。
"やりすぎると元に戻れない"というある意味"覚悟"が必要で、その後の人生で何度かその緊張感を思い出すことがあった。
もう60年近く昔の経験だが、「カット・アンド・トライ」は自分の頭の中にしっかりと刻み込まれている。

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